【音楽の部屋|渡辺はま子】激動昭和の歌姫

今回は激動の昭和を渡辺はま子さんの生涯と共に歩んでいきます

今回は激動の昭和を渡辺はま子さんの生涯と共に歩んでいきます

はま子さんが武蔵野音楽学校(現、武蔵野音楽大学)を卒業されたのが1933(昭和8)年でした

この年は小唄勝太郎さんの東京音頭が大ヒットした年でしたね

この頃の日本は1923年に起きた関東大震災から復興を遂げて景気が上向きになって元気な時代でした

そして日本は、歌謡曲のヒットパレードのような時代に入って…

でも、音楽学校卒というのは格調がとても高かったのです

なので音楽学校を卒業した学生が歌謡界に入ることは許されない時代でした

いろいろ大変な時代だったのですね

そんな中、はま子さんは武蔵野音楽学校卒業後は教師の傍ら、ポリドールから民謡「最上川小唄」で1933(昭和8)年レコードデビューを果たします

その年、有楽座でのライト・オペラ「シューベルトの恋」でジャネット役ではま子さんは出演

映像が残っているのかわからないけど、どんな舞台だったのか、とても興味がありますね

これからも、はま子さんはオペラ歌手を目指されていたのがよくわかります

そうでしたね

ところが1936(昭和11)年にある事件がおこります

お嬢様歌手と呼び声高かったはま子さんのレコード「忘れちゃいやヨ」が検閲当局によって6月26日付けで発禁処分を言い渡されます

その理由は…「歌い方が官能的すぎる」

これを1960年の27年目のリサイタルではま子さんはこう綴っています

「わたしの歌った曲はいままで2000曲ぐらいでしょうか」
「問題の"忘れちゃいやヨ"はわずか3ヶ月で15万枚売れて弾圧され、その後はぜったい歌いませんでした」
「いまでも歌う勇気がないんですよ」
「むかしのファンのイメージをこわすような気がして…」

そしてその年9月にに世間で「渡辺はま子の乱」と、まで言われた騒動を起こします

これはビクター10周年祝典の前に、はま子さんらビクター専属花形歌手が今で言うストライキを起こしたものでした

これがきっかけで翌年1937(昭和12)年コロムビアに移籍したはま子さん

日中戦争に突入

歌謡界は否応なしに軍国歌謡が洪水のように送り出す時代に突入します

そんな折、はま子さんの吹き込む"支那の夜"がまたまた検閲当局に「甘い歌だ、戦時に何の関係もないではないか！」と検閲対象になります

しかし、これが日本兵の中で大ヒットし、一躍はま子さんは歌姫への階段を登ります

大陸メロディと謳われた"広東ブルース、何日君再来、蘇州夜曲"などのヒット曲を連発

積極的に行った前線への慰問ではサイン依頼の殺到で、現地の士気を鼓舞されたそうです

そして終戦を迎えても、はま子さんの戦争は終わらなかったのですよね

その後のフィリピン・モンテンルパの刑務所の出来事もはま子さんの戦いでしたね

記録では、あの銀座の名店「鳩居堂」からお香を贈られたとされていますね

それから半年ほど経ってから、はま子さんに１通のお手紙が届いたのですよね！

そこにあの楽譜が入っていたのですね

それが"あゝモンテンルパの夜は更けて"ですね

そして、その年のクリスマスの日でしたね

これがきっかけで、収監されている全員が日本に帰国できたのですね

はま子さんの歌手人生は、まさに激動の昭和と共に歩んだ生涯だったと感じます

いまも戦争の惨事が繰り返されています

はま子さんの思いが世界に届く日を願っています